不動産投資でセミリタイアを目指してます。
サラリーマン大家のりばてぃー(@PAPALOG_LIBERTY)です。
2020年になったので、日本政策金融公庫の不動産融資の方針をヒアリングしてきました。
ヒアリング先は栃木物件の購入時に融資を出してくれた公庫担当者さんです。本音ベースで色々と教えてくれました。
これまでの公庫の不動産融資は、
属性が高くない方にも融資を出してくれる
築古木造物件などにも耐用年数を超えた融資をつけてくれる
金利が低い(しかも全期間固定)
このように好条件を出してくれるので、不動産投資を始めたい方にとって心強い味方とも言えましたが、、、ここ最近は審査条件がかなり厳しくなっているようです。
この記事では、公庫が最近ではどのような条件で不動産融資を出しているのか、どのような物件が今の公庫の不動産融資に合っているのか解説します。
これから公庫の不動産融資の活用を検討されている方の参考になれば嬉しいです。
公庫の融資制度(女性、若者/シニア支援金)
まず前提条件として、わたしが融資を受けている公庫の融資制度は「女性、若者/シニア起業家支援資金」となりますので、これから書く内容はこの融資制度に沿ったものになります。
おそらく、サラリーマン大家も含め、公庫で不動産投資を始められる多くの方がこの融資制度を使われているのではないでしょうか。
この女性、若者/シニア起業家支援資金の融資制度の概要は以下のとおりです。
融資限度額は7,200万円
融資期間は最大20年
わたしが2018年に購入した栃木物件では、物件価格3,200万円に対して、
・フルローン3,200万円の融資
・金利1.4%、返済期間15年
という好条件で融資を出してくれました。あの時、融資を認めてくれた公庫と担当者には本当に感謝しております。
公庫の融資期間が耐用年数内になった
これまでは、法定耐用年数を超えた融資期間を受けることも可能でしたが、今は「原則、耐用年数内の融資期間」となりました。
私の栃木物件の例で分かりやすく解説します。
栃木物件の購入時(2108年)の物件の築年数は築18年と築20年なので、それぞれの耐用年数(法定耐用年数の残存)は僅か4年と2年。※木造の法定耐用年数は22年
2018年前半頃までは公庫も不動産融資を割と積極的に出していたこともあり、返済期間を15年まで延ばしていただき、融資を受けることができました。
ただ、現在は「耐用年数内」の融資期間が限度となるので、もし同じ物件を公庫に持ち込んだ場合、融資期間は4年と2年しか受けられないということになるのです。これでは絶対にキャッシュフローが出てこないですね。毎月赤字です。
融資期間が短いと借り入れの残債額の減りはめちゃくちゃ早くなりますが、完済するまでは手元に現金が貯まっていかないので、規模をどんどん拡大していきたいという方にとっては大きなデメリットとなり、「融資期間が延びない」というのは死活問題とも言えます。
私も地方高利回り物件をもう少し買っておきたいと思っていたので、この耐用年数の方針が大きく変わってしまったのは、正直かなり痛いです。
よどほ利回りが高ければ返済年数10年でも回るかもしれませんが、余裕をもった資金繰りを考えると15年は最低でも必要かなと考えています。
公庫の融資は自己資金2割になった
私が栃木物件を購入した2108年ではフルローンがまだ出ていましたが、今はほぼ出ていないようです。
原則は以下2つの価格のうち、安いほうの価格に8掛けした金額が融資限度額になるようです。
・物件価格
・公庫の物件評価額
例えば、3,000万円で売りに出されている物件があるとしたら、公庫に出してもらえる融資限度額は2,400万円(3,000万円の8割)となりますので、残りの600万円は自己資金で補う必要があるということです。
また、もしも公庫の物件評価額が物件価格を下回る2,800万円になった場合には、融資限度額は2,240万円まで下がることから、自己資金は760万円まで上がってしまいます。
物件の収支が回るかの審査
公庫の融資審査では物件の収益性のチェックも行います。
物件の収益収益性のチェックの際は満室想定家賃に基づいたものではなく、「現況の収支」に基づいてシミュレーションするため、空室が多かったり全空の物件は融資審査が通らない可能性が高いです。たとえ満室想定の利回りが40%でも全空であれば審査上NGということです。
公庫のシミュレーションの方法は、
・現況の家賃収入に8掛した数字を算出
・8掛けで算出した家賃収入から運営費(管理委託料や共用電気代など想定されるあらゆる運営コスト)や公庫への返済額などの全ての経費を差し引く
このシミュレーションで収支が回る(黒字となる)ことが絶対条件のようです。
分かりやすく例示を出して解説します。
・物件価格:3,000万円
・耐用年数:8年(築14年の木造)
・表面利回り:12%(満室時)
・現況利回り:12%(満室中)
・公庫の融資条件:融資額2,400万円、融資期間8年、金利1.5%
・年間家賃収入:360万円
・運営にかかる諸経費:54万円(家賃収入の15%を想定)
・公庫への年間返済額:3,185,460円
この前提条件を踏まえると、公庫で審査上の収支計算は以下のとおりとなります。
・現況家賃年収360万円を8掛け→288万円
・288万円-54万円(運営経費)-318万円(返済額)=ー84万円(赤字)
決算書が2期連続で黒字であること
これは既に新設法人で公庫から借り入れをしていて、2回目の融資を受ける場合の話です。
わたしは栃木物件を購入する際に新設法人(合同会社)を設立し、その合同会社名義で物件を購入しています。
この場合、次の融資を受けるためには直近2期の決算書が黒字であることが必須条件になるようです。
これから公庫を使いたい方であれば決算書はそもそもないので、あまり関係ないと思いますが、既に公庫で借り入れをしており、将来的にまた公庫の融資を使いたいという方であれば、決算書の内容は黒字化することをおすすめします。
目先の節税は要注意です。
公庫の金利と融資対象エリア
金利については明確な回答を得られませんでしたが、基本は1%台になると思います。私の栃木物件も1.4%ですし、周りの大家仲間の話を聞いてもほぼ1%台で融資を受けられています。
ただし、金利はその人の属性や物件評価次第なので、必ずしも1%台の金利になるという保証はありません。実際に物件を持ち込んで担当者と相談してみないと分からない部分かと思います。
融資エリアについては特に大きな変更はないようです。基本的に全国どこでも検討対象になります。
公庫に持ち込むべき物件
一旦、ここまで説明した公庫の不動産融資の変化を簡単にまとめてみましょう。
・融資期間が耐用年数以内となった
・フルローンはもはや困難で、自己資金が2割程度必要になった
・現況家賃収入に8掛けして収支が回るか見られるようになった
正直、一番痛いのは「融資期間が耐用年数以内となった」ことだと思います。
これにより、地方築古の高利回り物件を公庫で購入するのはほぼ不可能になりました。
また、融資期間が短いと年間の返済額がかなり大きくなるので、キャッシュフローが全然生まれません。無理に融資期間を延ばしすぎるのも良くありませんが、不動産投資をする上である程度のキャッシュフローを出さないと運営に支障を来してしまいます。
では、どんな物件であれば今の公庫で融資を受けることができるのか。
このような物件が有力だと思います。
なぜ木造がだめなのか?木造はそもそも法定耐用年数が短く22年しかありません。仮に木造物件で15年の融資期間を狙うとなると、築浅の築年数5年の物件を狙う必要がありますが、築5年の物件では利回りが低すぎて、結局キャッシュフローが潤沢に生まれないのです。
それでは、RC物件と重量鉄骨造はなぜ良いのでしょうか?
・RC物件は法定耐用年数は47年
・重量鉄骨造の法定耐用年数は34年
仮にRC築20年~25年くらいの物件であれば、耐用年数は27~22年残るので、公庫の融資期間限度の20年を狙えるし、融資期間20年を獲得できればキャッシュフローも十分出せる可能性があります。エリアや立地を妥協すれば、10%を超える利回りの物件が出てくる可能性はあります。
また、RC築20年~25年であれば、エリアや立地を少し妥協すれば、利回り10%を超える物件も出てくる可能性はあります。※立地が微妙な場合は、死ぬ気で満室経営する必要がありますので、管理運営・空室対策の勉強もあわせて行ってください。空室対策が学べる本はこちらの記事で紹介してますので興味があれば覗いてみてください。
試しに、RC物件でシミュレーションしてみます。
・物件価格:5,200万円・耐用年数:25年(築22年のRC)・表面利回り:10%(満室時)・現況利回り:10%(満室中)
・公庫の融資条件:融資額4,160万円、融資期間20年、金利1.5%
・年間家賃収入:520万円
・運営にかかる諸経費:86万円(家賃収入の15%を想定)
・公庫への年間返済額:2,408,856円
・現況家賃年収520万円を8掛け→416万円
・416万円-86万円(運営経費)-240万円(返済額)=90万円(黒字)
さらに、実際に満室時に運営して得られる手残りのキャッシュフロー(税引き前)は以下のとおりとなります。
520万円(家賃収入)ー86万円(運営経費)ー240万円(返済額)=194万円
返済期間20年で年間キャッシュフローが194万円生んでくれるのであれば、十分に合格点ではないでしょうか。
また、融資期間20年は決して長くはありませんが、これはメリットにもなります。無理に返済期間を延ばさず耐用年数内の返済期間とすることで、銀行への利子支払いが減る分、元本部分の減りが早くなり、借り入れの残債は毎年確実に減っていくことになるからです。
「耐用年数内で物件を購入している」ということは、今後別の銀行で融資を受ける際に良い評価をしてもらえる可能性もありますし、急な売却が必要となった場合でも、融資期間が短いことから借り入れの残債がしっかりと減っているので、残債以上で売却できる可能性もぐんと上がります。
まとめ
以上、公庫の不動産融資における最新状況の解説でした!
公庫の不動産融資を受けるための条件は厳しくなりましたが、他の銀行のように「これから始める新規の方はお断り」という門前払いはありません。
公庫の条件に合う物件さえ持ち込むことができれば、融資を受けられる可能性は十分にあるのです。
これから不動産投資を始めたいという方も、公庫の土台に乗るような物件を探すことができれば、まだまだ公庫から融資を受けることは可能だと思っていますので、あきらめずに行動していきましょう。
わたしも物件探しを頑張ります。
それではまた!
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