レントロールとは?図解付きでわかりやすく解説【正しい見方を知り、嘘を見抜き、真実を知る】

不動産投資でセミリタイアを目指してます。

 

サラリーマン大家のりばてぃー@PAPALOG_LIBERTY)です。

 

不動産投資物件の購入を検討する上で重要な資料の一つとなるのが「レントロール」ですが、

 

レントロールに記載されている情報を疑うことなく「真実」として盲信してしまうことで、想定していたシミュレーション通りに収益が得られず、失敗してしまうことがあります。

 

レントロールの情報を自分で精査することなく真に受けて、物件購入後の運営で苦労したなんていう失敗事例は実際にある話なので、特に初心者の方は気を付ける必要があります。

 

そこで、今回の記事ではレントロールの正しい見方と注意すべきポイントについて分かりやすく解説しますので、これから最初の物件購入を検討されている方などは是非参考にしてください。

 

りばてぃー
レントロールから正しい情報を得る力をつければ、この記事の最後でも書いているとおり、良い物件に出会える可能性もあります。

不動産投資のレントロールとは?

レントロールとは、収益物件の各部屋毎の家賃、共益費、預かり敷金、入居期間などの諸情報が記載されている一覧表(一枚紙)です。

 

レントロールに決められた雛形はないため、不動産業者によってレントロールの中身は多少違いがあり、賃借人の属性(個人、法人)や部屋の間取りなどが記載されている場合もあります。

 

【レントロールの一例】

家賃の妥当性をチェックする

レントロールに記載されている家賃は「実際の入居者様からいただいている家賃」と、空室がある場合には「想定家賃」の2種類ありますが、いずれの家賃も相場からかけ離れた家賃となっていないか、念入りに確認する必要があります。

 

特に、家賃にバラつきがある場合には注意するべきです。明らかに他の入居者と比べて家賃が高い入居者がいる場合は、長期入居者の可能性が高く、昔の家賃がそのまま更新され続けている可能性があるからです。もし退去した場合に、同じ家賃で客付けするのは厳しいと考えましょう。

 

私が実践する家賃相場のチェック方法は主に以下の二つです。

 

賃貸募集サイトでチェック

スーモやホームズなどの賃貸募集サイトで、自分が検討している収益物件と同じスペック(1Kや2DKなどの間取り、追い炊き機能付きやネット無料、宅配ボックスなどの設備面、築年数など)を条件に入力して、検索します。

検索結果で出てきたライバル物件と自分の物件を比較して、「現在の入居者の賃料と空室の想定家賃」が相場並みか、高いか、低いか、確認します。

 

物件エリア内の仲介業者にヒアリング

賃貸募集サイトにはまだ入居が決まっていない物件のみが掲載されていることから、厳密に言えば、その募集家賃も本当に正しいかどうかはわかりません。

なので、私は賃貸募集サイトでの家賃相場確認の作業に加えて、物件周辺の仲介業者へのヒアリングも行います。自分が検討している物件のエリアやスペックなどを仲介業者に伝え、確実に客付けできる家賃相場を聞き出すのです。

仲介業者1社のみだと偏った意見になる可能性があるので、私はエリア内のほぼすべての仲介業者にヒアリングするようにしています。現地に行く時間がなければ、電話でヒアリングもOKです。

相場家賃で利回りを再チェック

賃貸募集サイトと仲介業者へのヒアリングで相場賃料を把握したら、その相場賃料で家賃を引き直し、収益物件の利回りを改めて確認します。

 

具体的に事例で解説してみましょう。

●レントロールの収益物件価格が2,000万円だと仮定し、レントロールに記載されている満室想定年間収入で表面利回りを計算すると、

 

満室想定年間収入÷物件価格=表面利回り


2,832,000円÷20,000,000円=14.16%

 

表面利回りは14.16%。現在の相場では悪くない数字だと思います。

 

りばてぃー
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●それでは、賃貸募集サイトの確認と仲介業者のヒアリングから得た適正な家賃相場に基づいて計算してみましょう。適正な家賃相場を27,000円と仮定します。この場合の満室想定年間収入は2,592,000円となり、同じように収益物件価格を2,000万円と想定して表面利回りを計算すると、

 

2,592,000円÷20,000,000円=12.96

 

適正家賃に引き直した上で計算すると、元のレントロールに基づいて計算した表面利回りと比較して1%以上も下がる結果となりました。

 

現在の入居者が物件購入後にすぐに退去するとは限りませんし、もしかしたらレントロールに記載されている家賃のまま向こう数年は収益を維持出来るかもしれませんが、永遠に住み続けてくれる人はまずいません。相場より高い入居者が多くいる場合は、退去の度に家賃が下落するおそれがあるのです。

 

つまり、賃貸募集サイトや仲介業者からのヒアリングで導きだした適正家賃まで将来的に下がる可能性があることを念頭に入れて検討することが大事であり、それでも投資として旨味があるかどうか、長期的に運営することができるかどうかを慎重に判断する必要があるのです。

入居開始日を確認する

契約期間=入居期間ではない

賃貸アパートに住まわれている方なら分かると思いますが、賃貸借契約は基本的に2年間契約で、2年間ごとの契約更新が通常です。

 

ここで注意したいのが、レントロールに記載されている契約期間は基本的に「直近」に契約された2年間を表示しているに過ぎないということです。

 

つまり、レントロールに記載されている契約期間の契約開始日が必ずしも一番最初の「入居開始日」とイコールではないということです。

 

たとえば、レントロールの103号室の入居者さんの契約開始日は2018年8月1日となっておりますが、もしかしたら既に4年間居住されていて、3回目の更新による契約期間が記載されている可能性があります。この場合、実際の入居開始日は2014年8月1日ということになります。

仮に103号室の入居者の方が、2014年8月1日から入居している場合、単身で既に4年以上居住されていて、次回更新時には居住期間が6年を経過するわけですから、単身者としては長期入居と考えられ、購入後にいきなり退去される可能性も考慮しておく必要があります。

 

また、6年間も住んでいれば経年劣化でそれなりに部屋は汚れているでしょうし、リフォーム費用が高額になりがちです。この点も考慮にいれて物件価格の妥当性を考えていく必要が生じてくるというわけです。

長期入居者の家賃は高い

長期入居者の方は家賃が高い傾向にあります。このレントロールで言えば、101号室の家賃が他の入居者と比べても高いので、長期入居者の可能性が高いと考えられます。仮に退去された場合には、高いリフォーム費用の支出のみならず、大幅な家賃下落も避けられないでしょう。

また、101号室の契約期間の契約開始日(2019年12月15日)を入居開始日と誤って認識してしまうと、「最近でも30,000万円以上で客付けできたんだから、退去後も同じくらいの家賃で客付けできるだろう」という勘違いが起こり得ます。

 

上で書いた「家賃の妥当性をチェックする」をきちんと行えばこのような勘違いによる失敗は起こらないはずなので、家賃の妥当性をチェックすることがいかに重要かということがお分かりいただけると思います。

直近で何部屋も決まっていないか確認する

レントロールの重要性を理解する上で、もう一つ大切な事をお伝えします。

 

直近で複数の部屋の入居が決まっている場合は要注意です。

直近で入居が決まってて何が悪いの?

それだけ客付けし易い良い物件ってことじゃないの?

 

そのように思われるかもしれませんが、物件の売主が無理やり客付けをした可能性があるのです。

 

なぜ売主が無理やり客付けするかというと、

 

・物件の入居率が良ければ、買い手が安心するから

・買い手側の金融機関も物件評価をする際に入居率を加味する場合があるから

 

現在の入居率が良ければ、買い手と金融機関に対してプラスに働きますので、売主は入居率をあげるために直前まで客付け業務に躍起になるでしょう。

 

そして、仲介業者に支払う広告費(AD)を相場より遥かに多い3か月分にしたり、入居者に対してフリーレント(家賃無料)を数か月分にするなど、無茶苦茶な募集条件で入居付けすることが起こり得るのです。

 

このような無茶苦茶な客付けが行われたかどうかはレントロール上では解読できませんので、以下の方法で確認するしかありません。

 

管理会社に確認する。
 物件の管理会社に確認して、成約した際の募集条件を確認しましょう。 

賃貸借契約書の写しを見せてもらう。
 広告費(AD)については記載がないかもしれませんが、フリーレントの有無については記載されているケースが多いです。

 

ちなみに、過度の広告費(AD)を支払うことも長期間のフリーレントも違法ではありません。

 

そのことを売主や仲介業者がわざわざ教えてくれることもまずないでしょう。

 

売主も仲介業者も自分たちの利益を第一に考え出来るだけ高く物件を売りぬきたいのですから、ある意味当然とも言えます。

 

物件を買うあなた自身がレントロールに潜む罠に気付かなければいけないのです。

レントロールの精査で良い物件と出会えることも

ここまではレントロールの注意すべきポイントを伝えてきましたが、しっかりとレントロールを精査することで、思いもよらず良い物件に巡り合える可能性があることもお伝えしておきます。

 

一見利回りが普通の物件でも、レントロールの家賃をよく確認してみると相場よりかなり低い場合が稀にあります。

 

なぜこのようなことが起きるかというと、管理運営や空室対策のノウハウがないご高齢の大家などは、安易に家賃を下げて満室を維持する場合があるのです。また、ご高齢の大家でなくても、管理運営を管理会社に丸投げしてしまうような新規参入の大家さんは、管理会社の値下げ提案の言いなりになり、家賃がどんどん下がっていくケースもあるでしょう。

 

このような物件であれば、退去の際に家賃を上げることが可能であり、ひいては利回りを上げられる可能性があるということです。

 

利回りは普通だけど、ちょっと気になった物件があれば、面倒くさがらずに物件概要書とレントロールを取り寄せ、中身を精査してみて下さい。

 

明らかに利回りが高い物件は買いたい人(競合)が多いので手に入りにくいものですが、

 

「利回りは一見普通だけど、実は現況家賃が相場より安くて、将来的に利回りを1~2%上げられるかもしれない」という物件はなかなか発見されにくいと思いますので、

 

フツーのサラリーマン大家でも、そのような物件で勝機を見出せるかもしれません。

 

りばてぃー
私が所有する物件でも相場より家賃が低い部屋がいくつかあり、退去後の家賃上げに成功しています。物件購入時と比較して徐々に収益と利回りがアップしている状況です。

まとめ

以上、レントロールの正しい見方と注意すべきポイントの紹介でした!

 

レントロールは物件概要書と同じく物件購入を検討する際の基本的な資料ではありますが、レントロールの内容は非常に奥深く、時には不動産投資の成否を分けることもあり得る重要な資料ということを覚えておいてください。

 

この記事で紹介しているチェックポイントに沿ってレントロールの中身をきちんと精査すれば、物件引き渡し後に収益が著しく下がってしまうなど想定外の事態には陥ることはありませんので、物件購入の際は是非この記事を活用してください。

 

それでは、また!

 

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